人生100年時代を生きるアスリートが、絶対に知っておくべきお金の話

人生100年時代を生きるアスリートが、絶対に知っておくべきお金の話

こんにちは。坂口友亮です。

今回はお金の話です。

若い頃から一つの競技に打ち込んでも、プロになってお金を稼げるアスリートはごく一部しかいません。

それでも僕は「若い頃にプロを目指して一つの競技に打ちこむのは正しい」と考えています。

同時に「競技だけやっていればいい」という考えには反対です。

僕たちは、100歳まで生きる

「LIFE SHIFT」ではこのように説明されています。

いまこの文章を読んでいる50歳未満の日本人は、100年以上生きる時代、すなわち100年ライフを過ごすつもりでいた方がいい。

いまの80歳は、20年前の80歳より健康だ。いま80歳のひとたちの子どもが80歳になるときには、もっと健康な日々が送れる。

「LIFE SHIFT」

つまり、ただ長生きするだけではありません。健康に長く生きる時間が増えると予想されています。

そのため、今までの「教育→仕事→引退」というステージ、つまり「学校に通って→一つの会社に定年前まで勤めて→退職金と年金で老後を過ごす」というライフサイクルではなく、人生の新たなステージがいくつも出現します。


「まんがでわかるLIFE SHIFT」

さて、上のイラストを見たときに、プロを目指して一つの競技に打ちこめるのはいつでしょうか?

「プロ野球選手になりたい!」と思った時に、10歳の人と40歳の人では、どちらが実現できる可能性が高いでしょうか?

いくら健康で長生きできるようになったとしても「プロを目指して本気で打ちこむ」という貴重な体験は若い頃にしかできません。

さらに、かつてない変化のスピードとグローバル化により、未来がどうなるか誰にもわかりません。

これからは「どう生きればいいか」という正解がない時代に突入します。

当然「プロを目指すべきか」「プロになれるか、わからないので諦めるべきか」という問題にも、正解はありません。

そんな時代に大切なのは「後悔を残さない選択をする」ことです。

これが「若い頃には競技に打ち込むべき」と僕が考える理由です。

問題は「競技さえやっておけばいい」という考え方です。

プロを目指すのはギャンブル

一つの競技でプロになるために、小学生のころから学校に行く時間以外は全て練習、中学や高校では寮に入って競技づけの生活…というケース。

あきらかにやり過ぎです。

「一つのことに専念しなければ結果が出ない」のは真実だと思います。

でもそれって、何年もやることなんでしょうか?

1日の全てを費やさないといけないのでしょうか?

1日のうちで1時間でも、他のことに当てるのはダメなんでしょうか?

少しでも競技以外のことを考えると、上達の効率が落ちるのでしょうか?

もし落ちるとしたら、それこそ練習の効率が悪すぎます。

さらに、怪我をしたら一発アウトです。

人生をかけて一つの競技に打ちこんだとしても、プロになれるのは一握りのアスリートだけ。

一つの競技でプロを目指すのはギャンブルです。

その事実を、指導者もアスリートも知った上で、ギャンブルに勝つための最適な手段を考えるべきだと思います。

最適な手段として「一つの競技だけに全てを費やす」のがベストだとは、とても思えません。

ギャンブルである以上、リスクへの対策が必要です。

それが「超基本的なお金の知識」です。

ほとんどのアスリートが稼げない理由

プロを目指す以上、成功してもしなくても、引退後にどう生きるか?を考える必要があります。

その時に必要なのは、投資の知識でも、タレントになるトーク力でも、飲食店を経営するための手腕でも、指導者になるためのマネジメント能力でもありません。

人は何に価値を感じ、お金を払うのか」を知ることです。

世界的なコンサルティング会社ベイン&カンパニーの研究によると、人が思わずお金を払いたくなる価値は30個あるとされています。

【機能…役に立つ】
・時間を節約できる(時間の節約)
・複雑なものをシンプルにしてくれる(簡素化)
・お金が儲かる(収益確保)
・リスクを減らしてくれる(リスク低減)
・整理・整頓してくれる(整理・整頓)
・まとめてくれる(統合する)
・バラバラなものをつなげてくれる(つなぐ)
・労力を減らしてくれる(労力の軽減)
・面倒を避けられる(面倒の回避)
・コストを減らせる(コスト削減)
・品質が高い(品質)
・種類がたくさんある(バラエティ)
・五感に訴えかける(感覚訴求)
・情報を提供してくれる(情報提供)

【感情…感情をゆさぶる】
・不安を減らしてくれる(不安の軽減)
・報われた感覚を与えてくれる(自分へのごほうび)
・ノスタルジーをそそる(懐かしさ)
・美しい・かっこいい(デザインや美観)
・名誉の気持ちを与えてくれる(象徴性)
・イキイキした感覚を与えてくれる(健康)
・癒しの感覚を与えてくれる(癒し)
・楽しさの感覚を与えてくれる(娯楽)
・惹きつけられるような感覚を与えてくれる(魅力)
・アクセスしやすさの感覚を与えてくれる(つながり)

【人生の変化…人生に変化を与えてくれる】
・希望を与えてくれる(希望の創出)
・ポテンシャルを最大限に発揮させてくれる(自己実現)
・モチベーションを上げてくれる(モチベーション)
・過去からの人類の遺産とつながった感覚を与えてくれる(資産継承)
・コミュニティへの所属の感覚を与えてくれる(帰属・縁)

【社会への影響…社会のためになる】
・自分の利益を度外視して他人や社会のためになる(自己超越)

顧客がほしいと思う30の「価値要素」(※1)

つまり、人は「役に立つ」「感情をゆさぶる」「人生に変化を与えてくれる」「社会のためになる」ものに価値を感じ、お金を払います。

稼げないアスリートは、観客(ファン)に対して、この中の一部、もしくは一つも提供していない、ということです。

引退後のセカンドキャリアを考える上でも、自分は仕事でどんな価値を提供するのか?を考えることは、とても大切です。

「アスリートはスポーツだけやっていればいい」という風潮が、余計にお金の問題を考える機会を奪っているように思います。

世の中にはお金を稼ぐ方法はたくさんあります。

でも、この基本だけは知っておいて下さい。

それは「お金は、提供した価値に対して支払われる」ということです。

いくらクオリティが高くても、何の価値も提供せず、誰も欲しいと思わないものには、お金は生まれません。

後悔のない人生を送るためにも、若い頃に一つの競技に打ちこむことは正しいと思います。

それと同時に「お金は、提供した価値に対して支払われる」という基本を押さえて、少しでいいから自分の生き方を考えて欲しい。

そう思っています。

(※1…顧客がほしいと思う30の「価値要素」みんなが思わずお金を払いたくなる「30の価値」とは?を元に作成)