自由にあこがれる凡人が、本当に自由になったら困った話
- 2020.04.22
- セカンドキャリア

こんにちは。坂口友亮です。
今日は、自由にあこがれる凡人の話です。
変化が速く正解のない時代に、後悔のない選択を行い、幸せに生きるにはどうすればいいのか?
ある男が、本を読みあさりました。
スティーブン・コヴィーの「7つの習慣」では「最も大切なことを優先せよ」
堀江貴文の「多動力」では「自分の時間を生きろ」
グレッグ・マキューンの「エッセンシャル思考」では「じっくり考える余裕を持て」
つまるところ、数々の偉人や成功者が
「自分で自由にコントロールできる時間を増やせ」
というメッセージを発信しています。
ハーバード大学の社会心理学教授ダニエル・ギルバートは「コントロールする能力を失うと死んでしまうことさえある」と述べています。
人間はコントロールへの情熱を持ってこの世に生まれ、持ったままこの世から去っていく。
生まれてから去るまでの間にコントロールする能力を失うと、惨めな気分になり、途方に暮れ、絶望し、陰鬱になることがわかっている。
死んでしまうことさえある。
「明日の幸せを科学する」
「科学的な適職」の鈴木祐も「自由度の低い仕事はタバコよりも体に悪い」と述べています。
実際のところ、数ある研究のなかでも「自由」ほど仕事の幸せを左右する要素はありません。
「科学的な適職」
仕事の自由度とは、タバコよりも私たちの健康に大きな影響をおよぼすわけです。
自由を手に入れれば幸せになれる。
男はさっそく転職して、かなり自由に働ける環境を手に入れました。
売上のノルマはあるものの、仕事の内容も、働き方も、働く時間も、どうやっても自分の自由です。
最初は開放感にあふれて「最高だ!」と思いましたが、しばらくたって気づきます。
自由になったのはいいけど、何していいか…わからない。
自由にあこがれる凡人がハマりやすいパターン
もう人の言いなりになりたくない!自由が欲しい!
↓
自由になる
↓
最初は最高だが、だんだん何をしていいかわからなくなる
↓
「やりたいことのない自分はダメな人間だ」と落ち込む
↓
やりたいことを持っている人をうらやましく思い、その人の元で働く
↓
(最初に戻る)
これが自由にあこがれる凡人がハマりやすい、ダメなパターンです。
オックスフォード大学が行った研究によると、フリーランス的な働き方は「最初はみんな自由に働けて気分が上がるが、長期的には心身の健康を崩す」という結果が出ています。
フリーになって最初は「自由」のメリットを享受できますが、だんだんと「不安定な賃金やスケジュール」「次の仕事が見つからない不安」がストレスとなります。
なぜダメなパターンにハマってしまうのか?
理由は2つあります。
一つは、自由を目的にしているから。
もう一つは、99%の人に「心からやりたいこと」なんて無いからです。
「自由」は手段であって目的ではない
多くの成功者が
「自分でコントロールできる時間を増やせ」
「自由を手に入れろ」
と言いますが、それと同時に
「手に入れた自由で、自分にとって本当に大切なことに時間を使え」
と言っています。
つまり、自由は手段であって目的ではない。
昔と違い「自由に生きたい!」と思った人が、比較的自由を手に入れやすい時代になりました。
そして、ほとんどの凡人は実際に自由を手に入れても「何していいか、わからない」という状況におちいります。
なぜか?
理由は「トレーニングを積んでこなかったから」です。
自由を使いこなすには
「自分の人生で本当に大切なことは何か?」
「自由な時間を使って何をやりたいのか?」
という明確な価値観や目的が必要です。
しかし、学生時代は勉強と習い事、就職してからは仕事…と、やるべきことを外から与えられ続けてきた凡人は「自分が何をやりたいのか?」を考えるトレーニングを積んできていません。
自由になって初めて「今まで、自分は何一つ意思決定のトレーニングを積んでこなかった」と気づきます。
1%の「to do型」、99%の「being型」
もう一つの理由が「そもそも、世の中の99%の人にやりたいことなんかない」からです。
「転職の思考法」では、世の中の人間は2パターンにわかれると説明されています。
・to do(コト)に重きをおく人間…何をするのか、で物事を考える。明確な夢や目標を持っている
・being(状態)に重きをおく人間…どんな人でありたいか、どんな状態でありたいかを重視する
「転職の思考法」
そして「to do型」が1%、「being型」が99%だとされています。
この1%という数字が正確かどうかわかりませんが、総務省統計局の2019年の調査では、労働力人口の87%が雇用者と従業員、つまり約90%が雇われている人という結果が出ています。
つまり、自分で会社や事業を立ち上げる人は13%。
その中でも、もともと「明確な夢や目標」を持っている人はごく一部…と考えると「99%の人は心からやりたいことなんてない」というのも、あながち言い過ぎではないかもしれません。
「やりたいこと」というと、普通は
- デザイナーになる
- webサービスを提供する
- サッカー選手になる
などの「分野」を探してしまいますが、「やりたいこと=分野」の「to do型」の人はほとんどいません。
99%の人は、心からやりたいことはない。
でも「being=ありたい状態」は持っている。
- 納得して仕事がしたい
- 感性を磨きたい
- 安心して暮らしたい
99%の人は「being=ありたい状態」を明らかにして、それを達成できる分野を探す。
これが、99%の凡人が自由を使いこなす方法です。
では、自分の「ありたい状態=being」を明らかにするには、どうすればいいのでしょうか?
自由を使いこなすために「価値観」を明らかにする
「ありたい状態=being」は、誰かが教えてくれるものでも、正解があるものでもありません。
自分の過去の体験から掘り起こすしかありません。
ただ過去を振り返るだけでは難しい上に効率も悪いので、「メモの魔力」で紹介されている
事実(ファクト)→抽象化→転用
という方法を利用します。
これを使って、
「ありたい状態=自分の価値観=自分の判断基準」
を見つけます。
「自由」というのは、とても魅力的な言葉です。
しかし、自由には不安定や責任がつきものです。
自由を使いこなすには「明確な目的」が必要ですが、それをもともと持っている「to do型」の人はほんの一部しかいません。
だからと言って、99%の「being型」の凡人が人生をあきらめることはありません。
自分の「ありたい状態=価値観」を明確にすれば、自由を使いこなすことができます。
-
前の記事
セカンドキャリア問題の本質である「アイデンティティの喪失」を具体的に解決する方法 2020.04.18
-
次の記事
人生100年時代を生きるアスリートが、絶対に知っておくべきお金の話 2020.04.22