「成功体験」を深掘りして、一生使える勝ちパターンを見つける方法
- 2020.05.20
- セカンドキャリア

こんにちは。坂口友亮です。
アスリートのセカンドキャリアを考える時に
「アスリートらしさを社会に活かす」
「スポーツを通して身につけた能力を社会に活かす」
こういう言葉を聞くことがありますが、正直難しいだろうなと思っています。
一つは「アスリートらしさ」「スポーツを通して身につけた能力」という言葉がフワッとしすぎているからです。
競争に勝ち抜く力?
苦しい時にやり抜く根性?
目標達成のために工夫する能力?
どれも何となくわかるものの、いまいち具体性に欠けます。
そもそもアスリート一人一人が、元々持っている能力や競技を通して身に付けた力は違います。
例えば、一口に「競争に勝ち抜く力」と言っても、その勝ちパターンは一人一人違うはずです。
「アスリートらしさ」のようにフワッとした言葉でまとめるのは無理です。
もう一つは、アスリート自身が自分の能力を社会に活かす方法を知らないからです。
まぁ、誰も教えてくれないのでアスリートのせいとは言えないんですが…。
僕は、アスリートが競技を通して身に付けた能力は社会に役立つと本気で思っています。
地味な練習を続けて、競争に勝ち抜き、目標を達成するまで努力を続ける。
この能力が仕事に、社会に役立たないはずがありません。
しかし、現実はそうなっていない。引退したら食えないアスリートがごまんといます。
なぜなのか。
それは「深掘り」が足りないからです。
自分が競技を通じて身に付けたこと、また元々得意だったことを、他の分野にも通じるレベルまで抽象化(一般化)して、それを次の仕事に活かせるように転用する。
この作業にガッツリ取り組んでいないから、セカンドキャリアでくすぶるアスリートが増えてしまう。
めちゃくちゃもったいないと思います。
あなたが身につけた能力を活かす、具体的な方法を説明します。
「自分には価値がないかも」「社会の中で役割がないのでは」と思い込んでいる人は、ぜひ試してみてください。
「メモ書き」で成功体験を深掘りして、共通する勝ちパターンを見つける
今回、説明するのは「ゼロ秒思考」という本で紹介されている「メモ書き」というメソッドです。
この記事では重要なところだけ解説していますので、より詳しく知りたい方は本書をご覧ください。
用意するもの
・A4のコピー用紙
・筆圧ゼロでサラサラかけるペン(「ゼロ秒思考」ではPILOT V CORNを推奨)
・過去の成功体験(3つ以上あると◯)
やり方
- A4用紙を横置きにする(裏紙でもOK)
- 左上にタイトル(テーマ)を書き、下にアンダーラインを引く
- 右上に日付を書く
- 1つのテーマにつきA4用紙を1枚
- 1枚につきに4~6行、1行につき20~30字
- 1ページを1分以内に書く
- 毎日10ページ書く
①テーマについて、思いつくことを1分で書く
今回は「スポーツ推薦を勝ち取った」という成功体験を例に解説します。
まず「なぜ、自分はスポーツ推薦を勝ち取れたのか?」について、思いつくことを書きます。

もし書くことが思いつかない場合は、
- どんな環境だったか?
- どんな行動をとっていたか?
- 何がモチベーションになっていたか?
このあたりをテーマにするのがオススメです。
「もっと小さな紙ではダメなの?」
「ノートの方が便利では?」
「1分だと書ききれない」
色々な疑問がわいてきますが、フォーマットを守ることはとても重要で、そうしないと効果が最大限に得られないと「ゼロ秒思考」では述べられています。
気持ちはわかりますが、まずはこのフォーマット通りに進めてください。
他にも理由を思いつく場合は、2枚目に突入します。
②先ほど思いついたことをテーマにして、思いつくことを1分で書く
理由を書き切ったら、先ほど出てきた理由をさらに深掘りします。
例えば「有名なコーチの指導を受けられた」を深掘りするなら、
「なぜ有名なコーチの指導を受けられたのか?」というテーマについて、思いつくことを書いていきます。
- 自分で徹底的にリサーチした
- 先輩から紹介してもらった
- コーチにたくさん指導してもらえるよう積極的に質問しに行った
- …
こんな感じでどんどん深掘りしていきます。
③テーマを掘りつくしたら、勝ちパターンをまとめる
それぞれのテーマを掘りつくしたな、と思ったら、
「この成功体験からわかる自分の『勝ちパターン』は?」
をテーマに、またメモ書きを行います。
- 行動の勝ちパターンは?
- 環境の勝ちパターンは?
- モチベーションの勝ちパターンは?
この3つにわけて書くのがオススメです。
④他の成功体験も同じように深掘りして「共通する勝ちパターン」を見つける
他にも「大会で優勝した」「レギュラーを勝ち取った」など、成功体験を同じやり方で深掘りしていきます。
すると「共通する勝ちパターン」が見えてきます。
これこそが、分野が変わっても、時代が変わっても一生使えるあなたの勝ちパターンです。
一例として、僕の勝ちパターンを上げておきます。
行動の勝ちパターン(例)
- 面白そうだと思ったらすぐに試す
- 自分の中で納得できるまで考える
- 人に教えることで自分の理解を深める
環境の勝ちパターン(例)
- 自分を理解してくれる人が周りにいる
- 一人でじっくり考える時間がある
- 裁量権がある(自分で決められる)
モチベーションの勝ちパターン(例)
- 期限が決まっている
- わからないことをすぐに調べられる、詳しい人に相談できる
- 作業する場所や練習の環境をたまに変えて、飽きないようにする
こうして見ると「何か普通のことだな」と思われるかもしれませんが、この勝ちパターンにたどり着いた納得感が重要です。
ここまで紹介した「メモ書き」をやり切ったあなたなら、出てきた勝ちパターンに強い納得感を持っているはずです。
⑤「勝ちパターンを活かす方法」をテーマに、思いつくことを1分で書く
ここまでくれば、
「今にどう活かせるか?」
「今、何が足りないか?」
「今後、どうすれば勝ちパターンに入れるか?」
をテーマにして、思いつくことをさらに深掘りしていきます。
引退後にやりたいことが決まっているなら「どうすれば自分の勝ちパターンを活かせるか?」を考えてみてください。
「考える」とは、自分の考えを文章にすること
「どれだけ深掘りすればいいのか?もしかしてずっと続けないといけないのか?」と思ったでしょうか。
その通りです。
「メモ書き」による深掘りに終わりはありません。勝ちパターンは一生磨いていくものだからです。
しかし「ゼロ秒思考」によると「メモ書き」を3週間〜1ヶ月続けると、思考を書き出さなくても頭の中で瞬間的にアイデアが思いつき、判断できるようになってくる、とされています。
これこそが「メモ書き」の効果であり、「ゼロ秒思考」の正体です。
そのために、まずは1日10枚、10分のメモ書きから始めます。
ただ、1日10分とは言え、毎日取り組むのは大変だと思います。
でも「大変だから…」と避けていると、セカンドキャリアでくすぶる原因になります。
なぜセカンドキャリア問題が起きるのか?に対する一つの答えがここにあります。
つまり、セカンドキャリア問題について一人一人のアスリートが考えていないからです。
「そんなこと言われなくても、毎日考えているけど」と思うかもしれません。
しかし、頭の中だけでモヤモヤを抱えているのは「考えている」ではなく「悩んでいる」状態です。
「考える」とは「自分が今、何を考えているかを文章に落とすこと」だと「TECH CAMP」で有名なマコなり社長は言います。
そして「考え抜く」とは「自分の思考を書きつくす」ということです。
やり方はここに全て書きました。より詳しく知りたい方は「ゼロ秒思考」を読んでみてください。
僕は、アスリートの能力は本当に貴重なもので、社会に活かせると本気で信じています。
あとは、やるかやらないかはあなた次第です。
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