アスリートが現役の時からセカンドキャリアを考えることは、悪なのか
- 2020.04.17
- セカンドキャリア

こんにちは。坂口友亮です。
今だに「アスリートが現役の時からセカンドキャリアのことを考えるのは良くない」という風潮があるらしいですね。
なんでセカンドキャリア問題が起きるのか。これにはまず1つ、文化的な要因が大きいんですね。
為末大「スポーツ界での評価=引退後の評価ではない」アスリートを阻む“セカンドキャリア問題”|logmi Biz
オリンピックに出るアスリートが「同時に医師免許を獲得するために勉強してます」ということが、アメリカの選手で実際にありました。
しかし、日本の選手でそれをやるとけっこう「日本を代表する選手が競技に集中しなくて、どうするんだ?」というような協会への批判があったりするという背景があります。
なので、日本の選手の場合、デュアルで進むというのが社会的にはちょっとやりにくくなっています。
「日本を代表する選手が競技に集中しなくてどうするんだ?」と言っている人は、何を考えているんでしょうか。
もしかして、会社では部下や後輩に「ウチの会社でやっていけないようなら、どこに行ってもやっていけないぞ!」と脅しをかけたりしてるんですかね。
これを見て「だから日本はダメ!アメリカは進んでる!」なんて言うつもりはありません。
アメリカでも、そこまで考えて行動しているアスリートはごく一部だと思います。
僕は「セカンドキャリアについて真剣に考えるからこそ、現役生活に集中できる」と考えています。
むしろ、セカンドキャリアについて漠然とした不安を感じながら「この先どうしよう」と悩む方が、競技に集中していない状態ではないでしょうか。
サラリーマンもアスリートと同じ問題を抱えている
アスリートが「競技に集中しろ!セカンドキャリアを考えるのは悪!」と呪いをかけられているように、今後のキャリアに悩むサラリーマンも「今の会社にコミットしろ!転職を考えるのは悪!」と呪いをかけられています。
アスリートがサラリーマンと同じ問題をかかえている…ということは、サラリーマンの問題解決の方法がそのままアスリートにも使える、ということです。
サラリーマンの問題を解決する根本的な方法は「力をつけて選択肢を持つ」ことです。
より具体的に言うと「スキルを磨いて、いつでも転職できるようにする」ことです。
そのための方法を紹介している「転職の思考法」という本があります。
「君は弱いんじゃない。ただ、選択肢を持たなかっただけだ」
「転職の思考法」
アスリートも同じです。競技で結果も残している、かつ他の業界でもやっていけるだけの実力があるアスリートには「選択肢」があります。
そうなれば、業界も実力のある選手を引き止めるために、対策を打たざるを得ません。
しかし現状、アスリートには選択肢がない状態です。
つまり「お前たち、競技を辞めたら何も出来ないだろ」とナメられているんです。
だから待遇が悪いんです。
メジャースポーツだとか、マイナースポーツだとか関係ありません。協会がセーフティーネットを用意してくれない、と文句を言ってる場合でもありません。
選手自身がセカンドキャリアについて真剣に考え、力をつけて選択肢を持つ。
セカンドキャリアの問題を根本から解決するには、これしかありません。
いつでも転職できるような人間が、それでも転職しない会社。
それが最強だ。
そんな会社だけが今の時代を生き残れる。
「転職の思考法」
つまりアスリートが力をつけて「自分で引退のタイミングを選べる状態」を作ることが、結果的に今の環境を改善することにつながります。
環境が良くなれば、競技に集中して打ち込むことが出来ます。
引退後のキャリアについて漠然とした不安を抱くこともないので、今に集中することができます。
さらに、サラリーマンに比べてアスリートの方が問題は深刻です。
それは「怪我のリスク」です。
どれだけ結果を残していても、怪我をすれば一発アウトです。ギリギリのパフォーマンスを追求しているアスリートほど、このリスクは高くなります。
だからこそ、アスリートは誰よりも真剣にセカンドキャリアについて考える必要があります。
そして「力をつけて選択肢を持つ」ために必要なのは情報ではありません。
正しい思考法と、正確な判断基準です。
選択肢がないと、自分に小さなウソをつくようになる
選択肢がないと、人は現状を正当化するために小さなウソをつくようになります。
小さな嘘をつき続けていると、心が死にます。
心が死んでいるアスリートが、最高のパフォーマンスを発揮できるでしょうか?
転職が悪だと言うのは、新たな選択肢を手に入れる努力を放棄した人間が発明した、姑息な言い訳にすぎない。
「転職の思考法」
「セカンドキャリアをついて考えるのが悪」だと言う人は、選択肢を手に入れる努力を放棄してきた人です。
そんな人がつく「小さなウソ」が「セカンドキャリアを考えるのは悪」なのです。
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