プロになる才能があるかどうかは「年齢」と「目標の高さ」で判断できる

プロになる才能があるかどうかは「年齢」と「目標の高さ」で判断できる

こんにちは。坂口友亮です。

今回は「プロになる才能があるかどうか判断する方法」について、元ロードレーサーの栗村修さんがめちゃくちゃ秀逸な記事を書かれていたのでご紹介します。

10代男性「自転車でのフィジカルの才能が自分にあるかをどう判断したらいい?」|Cyclist

10代の少年による、

「自転車でのフィジカルの才能が自分にあるかどうか、どう判断したら良いですか?」

という、たった37文字の質問に対して、

「短いですが、秘めた情熱を感じさせるご質問ですね」という書き出しから始まる栗村さんの回答は

2029文字

「いや、あなたの方が情熱を秘めてます」と栗村さんに伝えたい。

きっとこの少年は…


栗村さん、こんにちは。

僕は将来プロのロードレーサーになって、世界で活躍したいと思っています。

しかし、自分にそれだけの才能があるか、今はわかりません。

もし才能がないなら自転車は趣味で楽しんで、別のことにもチャレンジしたいと考えています。

なので「いつまでに」「どういう基準で」世界で活躍できる才能が自分にあるか、判断すればいいですか?


…こう聞きたかったはず。

栗村さんの回答を見ながら「なぜこの回答が秀逸なのか?」を解説します。

ロードレーサーだけでなく、もしあなたが何かの競技のプロを目指しているなら、きっと役に立ちます。

才能を見極めるポイントは「まわりとの比較」

自分の才能を見極める方法について、栗村さんは「まわりとの比較」だと言います。

自分の才能を見極めるときには、

・まわりと同じことをしているのに自分の伸びや成績が明らかに良い


・まわりよりも研究したりアドバイスを聞くのが好き


・まわりよりも努力が苦にならない。あるいは自転車が好きなため努力を努力だと思っていない

というように、「まわり」との比較がポイントになります。

極端に言えば、どんなに「自分には才能がない」と思っていても、周りよりも成績がよければプロになって活躍できる可能性があります。

そして、プロを目指すなら「自分がどれだけ成長できたか」は関係ない、とも言える厳しい回答です。

才能を見抜くのは年齢が低いほど難しく、目標が高いほど簡単

栗村さんは、才能を把握するためには

知識のあるコーチの下で、最低でも1年間はみっちり練習しなければいけない

とした上で、才能を見抜く難しさについて「年齢」「目標の高さ」の2つの軸で回答しています。

10代だという質問者さんですが、もし15歳なら将来の伸びしろが多いため、1年間のトレーニングで完璧に見抜くのは困難です。

 また、目標のレベルが高いほど才能の判定は簡単になります。

冒頭で述べたように能力とは才能+努力ですが、困難な目標であるほど能力に占める才能のウェイトが高まるからです。

もし質問者さんがツール(※)の総合優勝を狙っているなら、1年もあれば必要な才能があるかどうかは分かるでしょう。

しかし目標が全日本選手権の勝利だったら、才能がそれほどでなくても努力のウェイトを増やせば目標に手が届く可能性がありますから、才能が十分かどうかを1年で判定するのは難しくなります。

※ツール・ド・フランス…自転車の世界三大大会の一つ。視聴者数は30億人を超えると言われている。

これはわかりやすいですね。

  • 「Jリーガーになりたい!」というサッカーを始めたばかりの5歳の子供
  • 「プレミアリーグで活躍したい!」という補欠の高校生

どちらが目標を達成できる可能性が高いか?は明らかです。

もちろん、高校や大学まではイマイチ活躍できていなかったが、その後才能が開花した…というケースもないわけではありません。

しかし、それはレアケースです。

レアケースだけを見て「自分にも可能性があるかも!」と考えるのは早計です。

なぜこの回答が秀逸なのか?

①明確な判断基準がある

「成績」という明確な基準が「周りと比べて明らかによい」という結果が伴っていないとプロになるのは難しい、とはっきり答えてくれている。

②タイムリミットを提示している

プロになれるかどうかは「年齢」と「目標の高さ」という2軸で判断できる。

それによって、プロを目指すために「何歳までに」「どんな成績を残せばいいか」がわかる。


努力を美化し過ぎず、現実的な考え方を示しているところが秀逸です。

栗村さんの回答は厳しいけれど、優しい

選手にとって「時間」はとても大切です。

競技に費やした時間は、結果が伴わなければ全て無駄になってしまう可能性があります。

人生100年時代に突入して「何歳からでもチャレンジできる」という風潮はあるものの、若い頃の時間は2度と戻ってきません。

きっと、栗村さんはご自身の競技生活と、監督として多くの選手を指導してきた経験から「時間」の大切さを痛感していたのでしょう。

目標が「楽しくやりたい」であれば、別の仕事をしながら趣味としてスポーツを楽しむのもアリだと思います。

しかし「プロになりたい」という目標があるなら、しっかりと期限を決めて「何歳までに〇〇を達成できなければ辞める」と考えることが大切です。

プロになるためには、熾烈な競争を勝ち抜かなければいけません。

もちろん競争を勝ち抜ければいいのですが、問題は、競争に負けてしまった場合でも人生は続いていくということです。

栗村さんは、そこまで見越して回答していると思います。

もし、あなたが何かの競技でプロを目指しているなら、

・年齢や競技歴が同じくらいの選手と比べて、明らかに成績がいいか?

・自分の目指す目標は何か?

・その目標を達成するためには、何歳までにどんな結果を残している必要があるか?

この3つをぜひ考えてみてください。