コンプレックスをモチベーションにしていると、克服してしまった時につらいよね、という話

コンプレックスをモチベーションにしていると、克服してしまった時につらいよね、という話

キングコングの西野亮廣さんが「コンプレックスに頼る人は負ける」という動画(音声のみ)をYouTubeにUPしていました。


内容は「コンプレックスをバネにするのはいいけど、コンプレックスのエネルギーは『いつか枯れる』という前提でいた方がいいよ」というもの。

コンプレックスをモチベーションにするメリットは二つあって、

  1. 何かをスタートするときのバネとして、大きな力を発揮する
  2. 同じコンプレックスを持つ人の賛同を得やすい=ファンを作りやすい

つまり、スタートダッシュがかけやすい。

しかし、コンプレックスは解消されてしまう危険性を秘めています。

西野さんが例に出していたのは「モテない人が、そのコンプレックスをバネにして何かを始める」というケース。

始めたことが上手く行き始めると、当然人が集まってくるので、うっかりモテててしまうことがあります。

すると、コンプレックスをバネにしていた人は活動のエネルギー量が下がってしまう。

エネルギーの源がコンプレックスだったわけですからね。

そして、コンプレックスに賛同していたファンからも「いや、モテてるやん」とつっこまれてしまう。

なので、コンプレックスをバネにする際は気をつけてね、という内容でした。

この話を聞いた時「めっちゃわかる!」と思いました。

大学卒業後、僕はまさにこの状況にハマっていたからです。

結婚する女性の幸せオーラが目に見えた話

恥ずかしい話なんですけど、僕の大学時代は全く充実していませんでした。

人間関係もスポーツも何をやっても空回りして、ケガや病気にもなったりして。

大学卒業後は「普通に就職したくない、手に職をつけたい」と思って、鍼灸の専門学校に進学しました。

そこで勉強はガリガリやっていたんですが、めちゃくちゃ腐ってました。

「別の大学に進学していれば」「別の学部に入っていれば」「もっと自分を理解してくれる人がいれば」「結果を出して人生逆転したい」みたいな感じでした。

大学時代を思い出したくないので、全ての人間関係を切っていました。

ある日、大学時代の友達から結婚の報告がありました。

正直会いたくないなぁ…と思いましたが、さすがに結婚はめでたいし、お祝いも兼ねて飯に行ったんですよね。

久しぶりに会った友達を見て、学生時代と雰囲気が変わっていてびっくりしました。

何というか、結婚を控えた女性特有の幸せオーラがすごかったんですよ。

僕はスピリチュアルとかは全くわからないんですけど、発するオーラが優しいんですよ。表情が柔らかいと言うか。

100人中100人が一目見て「あーこの人は今しあわせなんだ」とわかる状態でした。

そして、その時に僕の中に生まれたのは…嫉妬ではなく祝福でした。

ただただ素直に「おめでとう」と言えました。

もはや幸せオーラが凄すぎて、嫉妬する余地もありませんでした。

何なら、僕もその幸せオーラをうけてちょっとハッピーになったくらいです。

で、家に帰ってから気づきました。

あれ?すでに俺が大学時代に抱えてたコンプレックスは存在しないんじゃ…?

何で毎日腐ってんの…?

そう言えば、ケガも病気も治ってきている。

これ、腐ってるのを正当化するために「大学時代充実してなかった」ってのを持ち出してるだけだ…と気づいてしまいました。

めちゃくちゃむなしく、猛烈に恥ずかしくなりました。

そこからは、つきものが落ちたように、将来のことを考えて普通に勉強に取り組み、就職活動を始めました。

思い返してみれば、それまでも楽しいことはあったはずなのに、腐ってるのを正当化するために「あの時の気持ちを忘れてはいけない!」って謎に固執してたんですよね。

今思い出しても恥ずかしいです。

コンプレックスは忘れてしまう可能性もある

ところで、「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」という言葉をご存知でしょうか?

昔の中国の言葉で、簡単にいうと、

親を殺された仇を打つため、また戦争に負けた復讐を果たすために、硬い薪(まき)の上に寝たり、苦い胆(きも)を嘗(な)めたりして屈辱を忘れないようにして、復讐を果たした

っていう話です。

あれって「リベンジを果たすために苦労を重ねること」みたいな美談として語られることが多いんですけど、僕は別の教訓もあると思うんです。

それは、親を殺された、戦争に負けたという屈辱ですら忘れてしまうってことです。

親を殺されるとか、もはやコンプレックスとかいうレベルの話ではないんですけど、それほどのことでも人間は忘れてしまう。

だからわざわざ屈辱を “忘れないように” 硬い木の上で寝たり、苦い胆をなめて、そのたびに負の感情を思い出したって話だと思うんです。

そもそも、恨みとかコンプレックスのような負のエネルギーは、持ち続けるのも簡単ではありません。

恨みを維持するには、めちゃくちゃエネルギーが必要です。

そして、維持するのに疲れてふとした瞬間に忘れてしまいます。

すると「あんな悔しい思いをしたのに、なぜ俺は忘れてしまってるんだ!」と自己嫌悪に陥ってしまう。こうなると結構つらいです。

なので、コンプレックスは何かを始める時の大きなエネルギーになるけれど、

  • コンプレックスは解消されてしまう危険性がある
  • コンプレックスは忘れてしまうこともある

この前提でいた方がいいよ、という話でした。

今日のところは以上です。