知り合って3年以内の友人に相談すれば、アスリートのセカンドキャリアは案外うまくいく
- 2020.04.28
- セカンドキャリア

こんにちは。坂口友亮です。
アスリートのセカンドキャリアがうまくいかない理由の一つに
「人間関係が狭すぎる」
という問題があります。
為末「連絡できる友人の8~9割が競技関係者だったら、大体セカンドキャリアの構築に苦しみます。
もし5割以上が競技と関係ない知り合いがいれば、案外うまくいきます。
つまり、競技の外の社会とどれだけ接点があるかということです」
為末大に聞く「アスリートのセカンドキャリア」のつくり方
人間関係の狭さは、そのままセカンドキャリアの選択肢の狭さにつながります。
あなたは「アスリートのセカンドキャリアと言えば?」と聞いて、どんな選択肢を思いつくでしょうか?
もし「指導者」「タレント」「飲食店経営者」くらいしか思いつかないとしたら、かなりヤバイ。
「そうは言っても、競技の知り合いはたくさんいる」と思われるかもしれませんが、競技人口を考えてみてください。
例えば、日本で競技人口の多いサッカーは約750万人、野球は約730万人です。
意外と多いと思うかもしれませんが、日本の人口は約1億2000万人。
割合で言うと、どちらも日本の人口の6〜7%。かなり多めに見積もっても10%はいかないでしょう。
10%の人の意見のみを参考にすれば、選択肢が狭くなるのは当たり前です。
知り合ってから1〜3年の友人・知り合いに相談する
では、どうすればいいのか?
解決のヒントを与えてくれるのが「科学的な適職」という本です。
著者の鈴木祐さんは
「私たちの意思決定力は、生まれつき深刻なバグを抱えており、いくら分析を行っても正しくキャリアを選ぶことはできない」
と言います。
「深刻なバグ」とは「誰もがおちいりやすい思い込み(バイアス)」のことです。
例えば「今のままでいたい」と思い、現状を正当化する情報を集めてしまう「現状維持バイアス」
たった一人の転職エージェントや、知人の紹介のみを元に仕事を決めてしまう「利用可能性ヒューリスティック」
どんなに優秀な人でもこういった思い込みにハマりやすいのですが、一つの競技に人生をかけてきて、人間関係も狭いアスリートは余計にハマりやすい環境がそろっています。
「科学的な適職」では、思い込みをはずして意思決定の精度を上げる方法として、
「知り合ってから1〜3年の友人・知り合いに相談する」
ことが効果的だと述べています。
これは「他人の方が、意思決定の精度が高い」というデータを元にした方法です。
こんな経験はないでしょうか。
あなたの友人がめちゃくちゃ悩んでいるけど、あなたからすると
「こうすればいいのに」
「答えは出ているのに、なんであんなに迷っているんだろう?」
と思ったことはないでしょうか?
研究によると、その人の性格だけでなく、寿命までもが、本人よりも友人の予測の方が精度が高いという結果が出ています。
また意思決定の精度は、相談してフィードバックをもらえる相手が増えるほど、高くなることもわかっています。
これは「360°フィードバック」と呼ばれる方法で、友人、上司、家族、コミュニティの仲間など、できるだけ多くの人に相談することで後悔のない選択ができる可能性が高くなります。
ただし、意思決定の精度が高いのは、
知り合って1〜3年>知り合って1年以内>知り合って3〜5年
だとされています。
知り合って1年以内の友人の方が、3〜5年付き合いのある友人よりも正確に判断できるのは意外ですが、付き合って3年を過ぎてくると親密になる分、客観的な視点を持ちにくくなるようです。
ですので、家族や競技の知り合いなど、付き合いの長い人だけの意見を元に判断するのはNGです。
「5割以上が競技と関係ない知り合いがいれば、案外うまくいきます」と言った為末大さんは、たくさんのアスリートを見てきた経験から、競技以外の知り合いの重要性を肌で感じていたのでしょう。
競技と関係ない知り合いは、あなたが今まで競技に打ち込んできたことを(いい意味で)知らないので、フラットな視点からアドバイスをくれます。
遅くても、引退の1年前から動き始める必要がある
とは言うものの、競技以外の知り合いはすぐに作れるものではありません。
アドバイスの精度が一番高い、知り合ってから1〜3年の友人を作るには、遅くても引退の1年前から動き始める必要があります。
まずは週1回でも、セカンドキャリアに関する情報を集める、本を読んでみる、人に会いに行ってみる、と行動を起こすことが大切です。
セカンドキャリアの選択に正解はありません。
しかし、誰もが失敗しやすいパターンを知り、対策することで正解に近づくことができます。
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