プロのアスリートにも、デキるビジネスマンばりの能力が求められている件について。

プロのアスリートにも、デキるビジネスマンばりの能力が求められている件について。

こんにちは。坂口友亮です。

「企業の平均寿命の低下」「終身雇用の崩壊」によって、現役のビジネスマンには「自分自身をマネジメントする能力」が求められています。

具体的には「自分の市場価値を高めて、転職によってキャリアアップする」「副業に取り組む」といった能力です。

この問題、プロのアスリートにとっても人ごとではありません。

なぜなら、スポンサー企業や、チームのオーナー企業の経営状況はアスリートの収入にダイレクトに関わるからです。

では、アスリートはどうすればいいのか?

ビジネスマンと置かれている状況が似ているので、解決策も参考にできる部分が大いにあります。

自分自身を「商品」として、マネジメントをアウトソースする

会社の平均寿命が約20年だと言われている現代において「一つの会社に勤め上げる」というモデルが崩壊しつつあります。

一生懸命仕事に取り組んでも、思ったほど給料が上がらない。

最悪の場合、会社がなくなる可能性すらあります。

一つの会社に人生を捧げるのは、割りに合いません。

アスリートも同じです。

一つの競技に人生を捧げるのは割りに合わない…と言うか、現役を続けられる期間がビジネスマンより短いので人生を捧げるのは不可能です。

ビジネスマンの場合「会社につかえる時代」から「会社をつかう時代」へ変化しつつあります。

「競技」と「コーチ」についても、「つかえる」から「つかう」へ発想を切り替えた方がよさそうです。

つまり、競技に「捧げる」、コーチに「師事」するのではなく、自分の目的を達成するために「マネジメントをアウトソースする」という発想です。

自分の「やりたいこと」のために、競技やコーチを利用するのです。

もちろん、相手を一方的に使い倒せ、という意味ではありません。

真っ先に自分の利益を優先させ、 相手よりも自分の取り分が多くなるように行動する人を「テイカー」と呼びます。

「テイカー」は短期的には得をしますが、長い目で見ると先細りします。

ではどうすればいいのか?

相手に先に与える人=「ギバー」になることが必要だと「GIVE&TAKE」のアダム・グラントは言います。

詳しい内容は本に書いてあるのですが、いきなり読むのはちょっと面倒だな…と思う人は、先にYouTubeで予習するのがオススメです。


自分の目的を達成するために、一番力になってくれそうなチームはどこなのか?コーチは誰なのか?

そして、チームやコーチのために自分は何ができるのか?

自分という「商品」の価値を高めていくには、こういったことを考える必要があります。

現役中からセカンドキャリアを考える

超少子高齢化による労働人口の低下などを理由に、政府は「働き方改革」の中で副業を推進しています。

アスリートも例外ではなく、実際にJリーガーの中にも、現役中からスクールを運営する選手も増えているようです。

一見、選択肢が増えたようにも思えますが「自分の収入は自分で確保してね」という厳しいメッセージでもあります。

ひと昔前であれば、現役選手の働き口としてスポンサー企業が面倒を見てくれたり、企業スポーツに取り組んできたアスリートのセカンドキャリアとして、引退後もそのまま雇用してくれるケースがありました。

今後、このようなケースがゼロになるとは限りませんが、イスの数が少なくなることは間違いないでしょう。

セカンドキャリアを充実させるためには「社会における自分の役割」を自分で見つけないといけません。

つまり「自分のやりたいことは何か?」という質問に明確に答えられないアスリートには厳しい時代となっているのです。

自分が何をしたいかわからない、という人は「世界一やさしい『やりたいこと』の見つけ方」を読んで、やりたいこと探しを終わらせることをオススメします。

「キャリアチェンジは当たり前」という意識を持つ

「2019年の転職者数は過去最多」総務省が発表したように、世間的にも「転職は当たり前」とする流れは年々強まっています。

アスリートも同じように、

・キャリアチェンジが当たり前

・現役中からビジネスやセカンドキャリアの準備をするのは当たり前

・競技と全く違うセカンドキャリアを歩むのが当たり前

という意識を持たなければ、引退後のキャリアの選択肢は「指導者」「解説者」など極端に狭くなってしまいます。

もちろん、指導者や解説者を目指すのが悪いとは言いませんが、「それしか選択肢がないから」というハンパな気持ちでつとまるほど、指導や解説は甘くありません。

せっかく厳しい競争を勝ち抜いてプロになったのに…と思うかもしれません。

しかし、ビジネスマンもめちゃくちゃ高い倍率を突破して入社した先に、待っているのは果てしない出世レースです。

さらに会社がなくなる危機にさらされ、その先のキャリアを誰かが保証してくれるわけでもない。

どの業界でも、一線で活躍するのは大変なことに変わりはありません。

そんな時代に、こだわるべきは「会社」や「競技」ではありません。

「自分の人生をどのように生きたいか?」という価値観にこそ、こだわるべきです。

なぜ「競技の成績=アスリートの社会的な評価」ではないのか

かつては「競技の成績=アスリートの社会的な評価」という図式が成り立っていた時代もありました。

ただ、これが成り立っていたのはスポンサー企業やオーナー企業の経営状況が良かったからです。

ビジネスマンが「自分のキャリアや収入は自分で確保してね」というメッセージを社会から突きつけられているのと、アスリートは全く同じ状況にあります。

これからの時代にプロのアスリートを目指す、ということはめちゃくちゃハイレベルな能力が求められているのです。

それを知らない、もしくは知らされずに、プロになって活躍したら明るい未来が待っていると思っている…これって、なかなか残酷なことです。

競技はその性質上、必ず勝つ人と負ける人がいます。

そして、負けた場合も人生は続いていく。

こういったことを現役中に誰も教えてくれません。

ただ、文句を言っても何も始まりません。

アスリート自身が「プロを目指すというのはどういうことなのか?」「自分の収入はどこから生まれているのか?」を意識することが、問題を解決するための第一歩になります。