「引退したアスリートには興味がないんだよね」が企業の本音。
- 2020.05.26
- セカンドキャリア

こんにちは。坂口友亮です。
為末大さんが、こんなことを書いていました。
今回聞いた話で、強烈だけど真実だなあと思った話がありました。
『セカンドキャリアの事を相談しに皆引退してからくるけど、こっちは引退した選手には興味が無いんだよね。』
残酷だけれども、本当の事でしょう。
ATHLETE SOCIETY
なぜ、企業は引退したアスリートに興味がないのか?
それは「応援シロ」がないからです。
「応援シロ」の「シロ」は、「伸びしろ」の「しろ」です。
応援する「余白」がないとも言えます。
「地方からJリーグを目指す」
「日本一になる」
「オリンピックで金メダルを取る」
このような「誰もが応援したくなる明確な目標」があると、企業はサポートしやすい。
さらには夢を追うアスリートを応援することで、企業としても広告やPRになります。
しかし、引退したアスリートには、わかりやすく応援できる目標もなければ、広告としての役割も果たしづらい。
追いつめられて「仕事をください」というアスリートは企業としても応援しづらい、というのが本音でしょう。
では、どうすればいいのか?
終身雇用の維持が難しくなった現代では、ただ企業の支援を待っていても問題は解決しません。
ならば、アスリート自身が自分の「応援シロ」、つまり「引退後の明確な目標」を設定することが必要です。
99%の人は「明確な目標」なんてない
先ほど「明確な目標を設定しろ」と言っておいて何ですが、そもそも世の中の99%の人に「明確な目標」なんてありません。
「転職の思考法」では、世の中の人間は2パターンにわかれると説明されています。
・to do(コト)に重きをおく人間…何をするのか、で物事を考える。明確な夢や目標を持っている
・being(状態)に重きをおく人間…どんな人でありたいか、どんな状態でありたいかを重視する
「転職の思考法」
そして「to do型」が1%、「being型」が99%だとされています。
競技に関しては「to do型=明確な夢や目標がある状態」だったかもしれませんが、引退後に「心からやりたいこと」が見つかるとは限りません。
しかし、悲観する必要はありません。
なぜなら「being=ありたい状態」を明確にして、それを実現できる手段を探せばいいからです。
「ありたい状態」とは「世の中がこんな風になったらいいのに」とあなたが思うことです。
例えば、クラウド名刺管理サービスで有名なSansanは、創業者が必要な名刺を机の中から取り出そうとしてもなかなか見つからず、
「名刺をデータ化したら、無駄をなくせるのでは?」
と思いついたことから事業が生まれたそうです。
また、情報キュレーションサービスのGunosyは、開発者同士で話している時に「最近のSNSって疲れるよね」という話題になり、
「じゃあ、疲れないものを作ろう」
と思いついたことから「情報を世界中の人に適切に届ける」というコンセプトのサービスを作り上げたそうです。
では、どうすれば自分の「ありたい状態」がわかるのか?
「メモの魔力」で紹介されている「ライフチャート」というフレームワークを使うのがオススメです。
詳しいやり方は、こちらの記事で紹介しています。
まずは、自分の「being=ありたい状態」を明確にする。
そして、その明確な目標を周りの人に伝えることが、自分の「応援シロ」を作る第一歩になります。
アスリートのセカンドキャリアを応援したい企業は意外とある
そうは言っても、企業は引退後のアスリートを受け入れる気があるのか?という点が気になりますよね。
調べてみると、アスリートのセカンドキャリアを応援したい企業は意外とあるようです。
日本スポーツ振興センターが行った調査によると、アンケートに回答した全国の企業のうち、43%が「引退後のアスリートの支援に興味がある」と回答しています。
企業としては応援したいと思っているけれど、アスリート自身に応援してもらう余白がない。
つまるところ、明確な目標を持っていない人は、周りとしても応援しにくい。
そういうことだと思います。
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