正解のない時代を生き抜くために、「自分の判断基準」を見つける具体的な方法

正解のない時代を生き抜くために、「自分の判断基準」を見つける具体的な方法

こんにちは。坂口友亮です。

かつては実業団やプロのチームを持っている企業も多く、アスリートは仕事と競技生活を両立させ、引退後は定年までその企業につとめる…というケースもありました。

ですが「終身雇用」「年功序列」「手厚い福利厚生」の維持が難しくなると同時に、企業がセカンドキャリアの受け皿になってくれる時代は終わりを迎えています。

企業がチームを持つのは広告宣伝が主な目的なので、業績が悪化すればコストカットの対象になるからです。

終身雇用はいつから始まったのか

そもそも「年功序列」「終身雇用」「手厚い福利厚生」といった制度ができたのは、1950年頃です。

戦前の1920年頃に、工場が人材を確保するため長期雇用などの計画を打ち出したのが始まりだと言われています。

その後、1950年頃の高度経済成長期にこれらの制度が定着しました。

経営者は安定した労働力を確保でき、長期の戦略を立てやすくなる。

労働者は安定した生活を保証され、人生設計がしやすくなる。

「企業の継続した事業拡大」が前提にあるものの、経営者と労働者、どちらにもメリットがありました。

ところが、1990年前半から日本の経済成長は悪化します。

そして、バブルの崩壊と共に、これらの制度は実質的に終わりを迎えました。

改めて考えてみると、実質的に機能していたのは1950年頃〜1990年頃の40年ほどしかありません。

「そんなこと言っても、まだ大丈夫でしょ」と思う方もいるかもしれませんが、2019年5月、トヨタ自動車の豊田章男社長が「終身雇用の維持は難しい」と発言しています。

時価総額ランキング世界35位、日本1位(2020年4月現在)の企業ですら、この状況ということは、他の企業はさらに終身雇用を維持するのが難しくなると予想されます。

いたずらに将来を悲観することはありません。

しかし、変化に対応できる準備はしておくべきです。

正解のない時代を生きるために

かつてない変化のスピードとグローバル化により「こう生きれば幸せになれる」という正解がない時代を、これから僕たちは生きていきます。

そもそも、未来のことは誰にもわからないのに「正解がある」という考えが幻想なんですけどね。

こんな時代に大切なのは「後悔のない選択をする」ことです。

そのためには「自分の判断基準を明確にする」必要があります。

「自分の判断基準」を明確にするワーク

では「自分の判断基準」はどうすれば明確になるのでしょうか。

そのための具体的な方法を紹介している「メモの魔力」という本があります。

「あなたはどういう人間ですか?」

「何がしたいのですか?」

「一番大事にしていることはなんですか?」

と突然聞かれて、とっさに答えられる人はなかなかいないでしょう。

つまり、自分のことをよく知らないまま生きている。

そのため、大きな判断を求められると、毎回迷ったり、ブレたりしてしまう。

自分を知り、確固たる「人生のコンパス」を手に入れる。

そのためのツールとして強い力を発揮するのが、本書で紹介する「メモ」なのです。

「メモの魔力」

「メモの魔力」では、記録としてのメモではなく「知的生産」のためのメモの使い方として、

ファクト(事実)→抽象化→転用

というフレームワークが紹介されています。

いきなり「あなたの判断基準は?」と聞かれても答えられないかもしれませんが、私たちは日々意思決定を行い、生きています。

…というと大げさですが、要するに「何かを選んだ経験」を振り返ればいいんです。


例えば僕の場合、

「ネイビーのズボンが好きで、よく買う」

というファクト(事実)があります。

次に「抽象化」のステップで、ファクト(事実)から得られる「気づき」を言語化します。

この場合「なぜネイビーのズボンを選ぶのか?」という理由を考えます。

すると

「暗い色の方がシュッっとして(※)見えるから」
「暗い色でも、黒だとありきたりで、つまらないから」

という理由が出てきます。

(※関西弁で「スタイリッシュ、スッキリとした、清潔感がある」という意味)

さらに考えると、

「シュッとして見られたい」
「ちょっと個性的なものが好き」

という価値観が明らかになります。

最後の「転用」のステップでは、抽象化で明らかになった価値観を元に「今後にどう活かせるか?」という具体的な行動を考えます。

例えば、ズボン以外の洋服を買うときも

「シュッとしていて」「ちょっと個性的なもの」を買う

と、満足度が上がる可能性が高くなります。

また、他の意思決定の例として、

「大学卒業後、就職せず鍼灸の専門学校に進学した」

というファクト(事実)を考えてみます。

ファクト(事実)を抽象化すると、

「年齢とともに価値のある人間になりたい

定年後、再就職で悩むような生き方をしたくない」

「独立できるスキルを身につけたい(※鍼灸師の資格には独立開業権がある)」

という価値観が明らかになります。

抽象化した価値観を転用して、

「時代の変化に左右されないスキルを身につける」

または

「時代の変化に合わせて、価値のあるスキルを学び直す」

という行動をとると、人生の満足度が上がる可能性が高くなります。


このように、「ファクト(事実)→抽象化→転用」のフレームワークは、日々の買い物から進路の選択まで、あらゆる意思決定から自分の価値観を浮き彫りにしてくれます。

価値観は「自分が好きなもの・嫌いなもの」「進路の選択」などの意思決定を行う際に、知らず知らずのうちに現れています。

ぜひ、自分のことを振り返って「自分はどんな価値観を持っているのか?」を深掘りしてみてください。

そして、過去の経験をいくつも振り返っていると、抽象化のステップで似たような価値観が何度も登場し、共通点が見えてきます。

それが、あなたの人生の満足度を上げ、後悔のない選択をするための「判断基準」になります。

やり方はわかったけど、どうすればいいかわからない…という方は「メモの魔力」の巻末付録「自分を知るための【自己分析1000問】」をぜひ活用してみてください。

全てに答えるのは時間もかかりますし、かなりタフな作業ですが、正解のない時代を後悔なく生きたいと思う人は、ぜひ取り組んでみてください。